ブログ|株式会社師勝薬局

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第29回 「糖尿病」

今回も投稿が遅くなりました。6月は糖尿病についてお話いたしました。

糖尿病は、血液の中のブドウ糖(グルコース)の濃度(血糖値)が高い状態(高血糖状態)が続く病気です。放っておくと、さまざまな臓器に合併症が起こる危険性が高くなります。その名前から糖尿病とは、「尿に糖が出る病気」と思われていることがありますが、尿に糖が出ることは血糖値が高いことのひとつの現れであって、本当に問題なのは血糖値が高いことです。尿に糖が出て、体内の糖が失われてしまうのではなく、血糖値が高すぎて尿にまで糖がたくさん出てしまうことが問題です。私たちは、毎日の食事で、さまざまな栄養素を体の中にとり入れています。このうち、米やパンなどに多く含まれる糖質(炭水化物)は、小腸でブドウ糖に分解されて、血液の中に吸収されます。また、タンパク質や脂肪などの栄養分も分解されて、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)を高めます。この血糖値は、体の中の「インスリン」というホルモンの作用で、ほぼ一定の値に保たれています)。この血糖を調節する仕組みがうまく働かなくなり、血糖値が高い状態(高血糖状態)が続くようになってしまうのが糖尿病です。血糖値が高くても、最初のうちは、ほとんど症状を感じることはありません。しかし、血糖の高い状態が続くと、のどの渇き、疲労感、多尿・頻尿などの症状が現れるようになり、次第に全身の血管や神経が傷ついて、全身に様々な臓器に影響が起こってきます。逆に、糖尿病になっても、食事療法や運動療法、薬によって血糖をきちんとコントロールできれば、症状を消失させ、合併症を予防することができます。糖尿病患者さんの88%が食事療法で治るといわれています。病院の薬に頼った治療ではなく、何をどれだけ食べるかが糖尿病の治療を握っているといっても過言ではありません。

 

 

第28回 「眼の病気」

投稿がたいへん遅くなりました。5月は眼の病気についてお話いたしました。

目の健康を維持するために、目の構造やはたらきを紹介しました。①涙腺(るいせん)⇒上まぶた外上方の位置にあって、一定量の涙液を常に分泌しています。実際には涙腺の中に腺房細胞と呼ばれる細胞がたくさん詰まっていて涙液を産生しているのです。②虹彩(こうさい)⇒瞳孔散大筋と瞳孔括約筋があり、自律神経の支配を受け、明暗によって自動的に目に入る光の量を調整します。カメラの絞りに相当します。③角膜(かくまく)⇒眼球外膜の1/6を形成する透明な膜で光線の入り口です。④水晶体(すいしょうたい)⇒カメラのレンズに相当し、毛様体と連動して調節作用を行います。⑤睫毛(まつげ)(しょうもう)⇒眼瞼(がんけん)の上下縁にあり、刺激に敏感で、異物が触れると眼瞼を閉じて目に入るのを防ぎます。⑥眼瞼(がんけん)⇒いわゆる瞼(まぶた)のことで、カメラのシャッターに相当し、眼球を保護すると共に類液膜を作り、涙液を涙のうに送り込みます。⑦結膜(けつまく)⇒眼球の露出部を保護し、眼球運動を容易にします。⑧毛様体(もうようたい)⇒毛様体筋の緊張、弛緩によって水晶体の厚さを変え、網膜に実像を結ぶように遠近の調整をします。⑨網膜(もうまく)⇒カメラのフイルムに相当し、2つの視細胞(錐体・杆体)で光(モノの形・  色等)を感じ、電気信号に変換して脳に送ります。⑩脈絡膜(みゃくらくまく)⇒毛様血管と色素に富み、網膜などへの栄養補給とカメラの暗箱の役割をしています。⑪強膜(きょうまく)⇒角膜と共に眼球を形成する外膜で、カメラのボディに相当します。⑫中心窩(ちゅうしんか)⇒眼底網膜の中で最も明視(はっきり見える)できる部分です。

そして、ものもらい、アレルギー性結膜炎、白内障、ドライアイ、緑内障、飛蚊症、加齢黄斑変性、網膜剥離、糖尿病性網膜症、乱視などの眼病についてお話しました。

 

 

第27回健康づくり教室 開催 「病院の薬・血圧編」

現在、日本では主に6種類の血圧を下げる薬(降圧剤)が汎用されており、様々な病院で処方されています。この6種類の降圧剤の特徴と厚生労働省に報告されている副作用について、先ずは、カルシウム拮抗薬からお話をさせていただきました。

おそらく最も多くの高血圧の人に処方されている降圧剤は「カルシウム拮抗薬」です。多い理由は、製薬会社にとって最も製造しやすい単純構造の成分で、副作用リスクが少ないからです。それに製造コストも比較的安価で薬価が高い上、薬価差益という利幅が獲得できるため病院や医師が採用しやすいとされています。カルシウム拮抗薬の成分特徴は血管の中に存在する「血管平滑筋」という筋肉にカルシウムイオンが入ってくると、この筋肉が収縮し血圧上昇を引き起こすので、この薬でカルシウムイオンを入ってくるのをブロックさせることにより「血管平滑筋」の収縮を抑え、血圧上昇を抑えるものとなります。一般的な副作用としては動悸、頭痛、ほてり感、浮腫み、歯肉増生、便秘などがあります。グレープフルーツとの食べ合わせは注意が必要なことで有名です。グレープフルーツはカルシウム拮抗薬の分解を遅くするため、薬が効きすぎて血圧が異常に下がってしまう危険性があるのです。カルシウム拮抗薬を飲む前後4時間はグレープフルーツを食べると非常に危険とされています。DSC_0751

〈カルシウム拮抗薬とカルシウム剤〉

カルシウム拮抗薬は血液中のカルシウムに作用するのではなく、細胞中のカルシウムを少なくするように働きます。名前から想像するようなカルシウムと競合する作用やカルシウムの吸収を阻害する作用はありません。従って、医学的にも薬学的にもカルシウム拮抗薬の血圧を下げる効果がカルシウム剤によって影響を受けることはないとされています。

第26回 花粉症とアレルギー

今回は最もタイムリーに花粉症とアレルギーについて取り上げてみました。

意外と知らない花粉症の知識! 花粉症の症状には主にくしゃみ・鼻みず・鼻づまりがあります。その中でも見逃されがちなのが鼻づまりです。花粉症患者さんの約9割の方に鼻づまりの症状があるといわれています。花粉症は、スギなどの花粉(抗原)が原因となって起こるアレルギー疾患の一つです。特にスギ花粉症は冬の終わりから春にかけて、毎年、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりなどの症状で多くの人を悩ませています。日本では、スギのほかにもヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなど約50種類の植物が原因で花粉症を引き起こすとされています。花粉症の症状は大きく分けて3つのタイプがあります。花粉症は症状の特徴によって、くしゃみ・鼻みずだけがある「くしゃみ・鼻漏型」、鼻づまりがある「鼻閉型」、全ての症状が同じくらいある「充全型」に分けられます。ご自身の症状タイプを確認し、症状にあった治療を早めに医師または薬剤師に相談しましょう。花粉症はアレルギー疾患に含まれますが、本来アレルギーとは、あるものに対して過敏に反応する状態で、白血球の免疫反応が関係することをいいます。免疫とは、体を守るための防御システムで、体内に入ってきた異物(細菌やウイルス)に対して抗体を作って対抗しようとします。アレルギーは、食物やダニ、花粉など、本来は病原性のないものに対して白血球のリンパ球が特別な抗体(武器)IgEをつくって、過剰な反応を起こしてしまう現象です。アレルギーの原因になる物質をアレルゲンといい、それに対してできた抗体をIgE(免疫グロブリンE)といいます。このIgEを作りやすい体質がアレルギー体質で、遺伝的に決まっています。………DSC_0742

第25回 免疫と白血球

今回は報告が大分遅くなりました。2月17日(水)に開催されました内容です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA免疫ということばは聞き慣れていますが、日頃の生活で疲労が回復することや病気や傷などが治癒していくのは免疫が働くためです。ストレスに強い体をつくるのも免疫力で、肩こりや腰痛などの体の不調の予防や改善も、実は免疫力の働きなのです。老化や病気の予防も免疫の働きです。免疫力で新陳代謝を活発にします。機能の低下や細胞組織の老化による病気の予防にも免疫力が働きます。免疫力には、がん細胞、ウイルス、病原菌など、本来の自分の細胞と違うものを区別する働きがあります。花粉を食物と判断すべきなのに異物と誤認するのが花粉症です。その認識をする担当は「白血球」なのです。インフルエンザなどのウイルスや病原菌からの感染を防ぐのは「免疫細胞」といわれる白血球です。B細胞の白血球はウイルスに対抗できる武器に相当する「抗体」をつくります。幼少時代のはしかやおたふくかぜに再びかからないのは、白血球のB細胞(Bリンパ球)が一度侵入した外敵(ウイルス)を記憶していて、必ず勝てる武器の「抗体」がつくられるからです。これを「免疫記憶システム」といいます。………

第24回 健康づくり教室 開催

今回も投稿が遅くなりました。健康づくり教室の今回のお話は「動脈硬化」についてです。動脈硬化とはコレステロールが血管の内壁に沈着する病変のことです。動脈は心臓から全身に酸素や栄養たっぷりの新鮮な血液を送る血管で、私たちの体でもっとも重要な生命線といえます。動脈はもともと弾力があり、血液がスムーズに流れるように内壁がなめらかです。動脈硬化とは血管が厚く硬くなり、内壁にコレステロールなどがたまって血液の流れが悪くなる病変のこと。進行すると脳や心臓、足などにさまざまな障害を起こし、生命に関わる危険さえあります。動脈硬化の種類の中で最も多いのが粥状(アテローム)硬化です。脳や心臓などの太い動脈の内膜にコレステロールなどが付着して、盛り上がった部分ができ、内皮から血栓ができる。そのために血管の内腔が狭くなり、血液の流れを妨げるため起こります。血液がドロドロ」とは血液中に含まれる脂質が通常より異常に多い状態(脂質異常症(高脂血症))のたとえで、動脈硬化の原因となります。血液中の脂質の中で問題となるのは、コレステロールと中性脂肪です。これらの原因に食事と運動不足が関わっていることをお話いたしました。DSC_0660

第23回 健康づくり教室 開催

投稿が遅くなりました。12月19日(土)に開催いたしました。今回は「腎と老化」についてです。「腎」とは西洋医学の「腎臓」のことではありません。東洋医学の基本的な考え方である「五行説」という医学論の「五臓六腑」に基づいた表現です。西洋医学での腎臓の働きは「体液である水分や電解質の調整、塩分や老廃物の処理、血圧を上昇させる」の3つの作用が有名ですが、東洋医学の「腎」は体内の水分に関わるだけでなく、もっと生命的に広く関係しています。特に五臓について言えば「五臓とは、肝、心、脾、肺、腎のことで、主な機能は、精気の貯蔵・分泌・生成を行う」とされています。そこで「腎」の位置づけは、生命の維持機能の全般に関わり、内分泌ホルモン系、泌尿生殖器系、神経系を主っています。「腎」の不調和が起こり、働きが弱ることを「腎虚(じんきょ)」といいます。これは老化全般のことを表し、さまざまな症状が現れてきます。その症状を漢方では「腎虚の証(じんきょのしょう)」といい、老化の表れとされています。DSC_0501

第22回 健康づくり教室 開催

今回は「自律神経のはたらき」についてお話いたしました。ヒトの神経には各部分に網の目のように張りめぐらされた細かいネットワークの末梢神経と、そこから集められた情報が、さらに集まっている中枢神経とがあります。中枢神経は脳と脊髄からなっていて、全身に指令を送る神経系の中心的なはたらきをしています。野は頭蓋骨によって、脊髄は脊柱によって守られています。末梢神経は中枢神経と、からだの内外の諸器官に分布する神経と結び、情報の伝達を行っています。また、末梢神経には、体性神経と自律神経の二つがあります。

私たちの体には、頭の先から足の先まで神経が張りめぐらされて、このシステム全体を「ナーバスシステム」といいます。体性神経は自分の意志で体を動かし、知覚や運動を支配しています。そして、自律神経は意志とは無関係に体の各部分を終日コントロールして、生命活動を支配する重要な神経系です。自律神経のおかげで、眠っているときでも呼吸ができ、血液は常時流れている、胃で食べ物が消化される、小腸で栄養が吸収される、老廃物や疲労物質を集めて便や尿で排泄するなど、全て自分の意志とは関係なくはたらいております。その自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、それらが正反対のはたらきをして、バランスよくはたらくことで健康は保たれるのです。そして、最近では自律神経の乱れが原因の病気がDSC_0491……。

第21回 健康づくり教室 開催

平成27年10月17日(土)に開催しました。今回は三大栄養素のタンパク質を取り上げてみました。タンパク質とは何でしょう?生命の根底をつくる最も大切な栄養素、それがタンパク質です。ヒトの身体は、頭のの先からつま先まで全てタンパク質でできています。私たちが食べたり、ものを見たり、歩いたり、考えたりできるのも、そして病気になったりするのも、全てタンパク質がかかわっています。タンパク質体重の約1/5を占め、血液や筋肉などの体をつくる主要な成分であるとともに、酵素などの生命維持に欠かせない多くの成分にもなります。エネルギー源としてもつかわれることもあります。

私たちの身体の細胞は日々分解され(異化)、新しくつくられて(同化)います。異化>同化は病気のの発症や老化現象が進み、異化=同化という同じレベルで保たれるときは、私たちは健康でいられます。そのためには栄養という材料が必要となります。このときに一番重要な栄養素がタンパク質です。体をつくっているタンパク質の一部は常に分解され、食べたタンパク質と合わせて、作り直されます。タンパク質の材料には、体の中でつくることができないもの(必須アミノ酸)もあるため、私たちは毎日食べ物からタンパク質を補給しなくてはなりません。栄養素の中で最も重要といっても過言ではありません。……DSC_0487

第20回 健康づくり教室 開催

平成27年9月19日(土)に開催いたしました。今回はヒトが生きていくうえで絶対に必要な栄養素「ビタミン・ミネラル」についてお話させていただきました。ビタミンとミネラルは食事などを通じて、毎日摂らなければなりません。一部のビタミンは腸内善玉菌がつくりますが、ミネラルだけは体の中でつくることができませんので、外から摂るしかないのです。

ビタミンというと、まず“活力”とか“健康”をイメージする方が多いのですが、実際に、ビタミンの「ビタ」(VITA)は「生命」とか「活力」を意味する言葉で、生命に不可欠な物質という意味をこめて名づけられました。正に、三大栄養素である糖質・脂質・タンパク質などとともにヒトが生きていくための必要不可欠な栄養素の一つなのです。ビタミンは体の中で三大栄養素の代謝を助ける働きをしており、ミネラルと並んで微量栄養素といわれます。糖質・脂質・タンパク質のように、エネルギーになるものではありませんが、それがないと人体という“機械”がスムーズに動かない、いわば“潤滑油”のような働きをしています。……