ヒトの身体のほとんどが「タンパク質」でつくられています

体から水分を除くと半分以上は「タンパク質」という栄養素で構成されており、さらにそのタンパク質はアミノ酸から肝臓でつくられています。タンパク質は生命力の源であり、不足してくると徐々に様々な症状が表れてきます。タンパク質不足はすぐに表れないことが特徴で、意識をして予防しなければなりません。当然ながら加齢とともにタンパク質不足は発生しやすくなるため、少しでも歳を感じるようになったときに積極的に摂取していけば様々な症状が改善されていきます。とくに高齢の皆さんは食事からの摂取量が少なくなる傾向があり、高たんぱく食を意識していくことが健康に大きく貢献いたします。

タンパク質不足では健康が維持できない

食事からのタンパク質の摂取量が減ると、目には見えませんが骨量や筋肉量が少なくなります。そして、じわじわと少しずつタンパク質不足による健康面の症状がサインとして身体が知らせてくれます。いつの間にか、精神面でイライラしやすくなったり、集中力の低下、髪の毛の不調、皮膚のしわやたるみ、筋力の低下、むくみ、貧血、身体が疲れやすくなり、さらに風邪を引きやすくなったり、ちょっとした感染症にかかるなど免疫力の低下までもが表れてきます。これは意識をしてより多くのタンパク質の摂取を毎日続けることにより、発症の予防や症状を改善することができます。食事から摂取できれば問題ありませんが、毎回の食事に十分なタンパク質を摂取することが容易ではないことが現代人の実態です。若い世代の人たちの食生活といえば糖質と脂質に偏り、高齢者の人たちは食事量そのものが減るため、タンパク質不足を起こします。高タンパク食はただただお肉類などとかを摂るのではなく「アミノ酸スコア100」という良質タンパク質を摂るようにしましょう。(タンパク質はアミノ酸分子がたくさん集まったもので構成されています)

タンパク質

「アミノ酸スコア100」というタンパク質は何のことでしょう

食事から摂取したタンパク質は胃腸で分解されてペプチドに、さらに分解されてアミノ酸になり、そのアミノ酸から肝臓でタンパク質が再合成されて、血液成分のアルブミンや筋肉など全身の細胞がつくられます。タンパク質とアミノ酸の違いは分子量の大きさで、最も小さな分子量がアミノ酸ですが、体内でもつくられます。とくにアミノ酸の中でも「必須アミノ酸」は体内でつくられないため食事から必須アミノ酸を豊富に含んだタンパク質食品を摂取しなければなりません。その必須アミノ酸には、イソロイシン、ロイシン。リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン(スレオニン)、トリプトファン、バリン、ヒスチジンと9種類あり、それらがバランス良く含まれているものを「アミノ酸スコア100」という基準で良質タンパク質食品を選定します。良質タンパク質を水の入った桶で例えると、桶をつくる“各1枚の板が必須アミノ酸で、中の水がタンパク質”です。全ての必須アミノ酸が満たされていることで、桶の高さを作り、桶の中の水(タンパク質)がこぼれないようになっています。これは体の中で十分なタンパク質が生成されると考えられています。それに対して、右の桶はロイシンが不足することにより、ロイシンの高さまでしか水(タンパク質)をためることができません。つまり、板の長さが1枚でも短いと(アミノ酸含有量が一つでも少ないと)それだけのタンパク質しか生成できないことを示します。このように、9種類の必須アミノ酸のすべてがバランスよく含まれていることでアミノ酸スコアは高くなり、体内で十分なタンパク質が生成されるのです。

アミノ酸スコア

良質タンパク質が筋肉や血液などの細胞のもとになります

筋肉や血液など体中の全ての細胞をつくるには“必須アミノ酸”をバランス良く含む良質タンパク質食品を摂ることが不可欠で、お肉・お魚・大豆製品・卵・乳製品などが該当します。毎回の食事で意識をして良質タンパク質食品を摂取しなければなりません。とくに高齢者の方が不足してしまうと、筋肉や臓器の機能低下から健康が崩れてしまい、生きていくうえでQOL(生活の質)のレベルが低下してしまいます。筋肉を増やすだけでなく、ヒトが生きていくためには良質タンパク質を積極的に摂ることが重要です。また、食品以外にもサプリメントが普及しております。サプリメントの成分には、ホエイプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテインの3種類があります。ホエイプロテインは筋トレの方専用で、一般的にはカゼイプロテイン、ソイプロテインが最適で高齢者の方にも役立つ成分です。

筋肉量の低下はQOLに影響する -2

ひざの痛みの原因はプロテオグリカン不足による“軟骨の磨耗”

体重力のかかるひざ関節で厚さ6mm程度の軟骨が骨とのクッションの役目をしており、軟骨は大変重要な働きをしています。軟骨の主成分はプロテオグリカンで、骨と骨の間の滑りをよくして緩衝作用としてクッションの役割を担っています。ちなみにプロテオグリカンは、腰部の椎間板でも働いています。変形性膝関節症では、加齢によるプロテオグリカンが増えれば磨耗していた軟骨も少しずつ増えることにより症状が改善されていきます。食品やサプリメントを利用する場合は、国内産原料の高品質なグルコサミンを選んで補いましょう。

ひざ軟骨 (002)

「骨粗しょう症」は骨を強化すれば改善します

骨粗しょう症は比較的高齢者に多く見られる病気で、骨密度が低くなって骨折を起こしやすくなります。骨がもろくなると、ちょっとした転倒でも背中への衝撃に耐えられず、脊椎がつぶれてしまう原因にもなるのです。医療機関へ受診したときの「骨密度測定」は骨の強さを判定するための代表的な検査です。骨密度測定では、骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定し、判定します。骨密度は若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表されます。加齢とともに骨密度の測定検査は、骨の健康を知る上でも重要な手がかりとなります。「寝返りを打つ時に背中が痛い」「背中が曲がってくる」「湿布等の貼り薬を使っても痛みがとれない」こんな症状が出たら “脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)” を疑ってみましょう。脊椎圧迫骨折は、高齢者を悩ます危険な病気で、悪化すると寝たきりの原因にもなり得ます。日頃から骨の仕組みや、高齢者ならではの骨のリスクについて正しく理解し、大切な自分の体を守りましょう。

骨粗しょう症

脊椎圧迫骨折の主な原因は「骨粗しょう症」です!

私たちの体は脊椎(背骨)によって支えられており、普段、立つときや歩くときも、脊椎の支えがなければその動作や状態を維持できません。しかし、骨がもろくなると体の重みに耐えられず、何かの弾みで脊椎が押しつぶされるように骨折をしてしまいます。これが「脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)」です。そして、押しつぶされて骨折する原因は「骨粗しょう症」です。骨を形成する成分は最も多いカルシウムとタンパク質です。どちらも骨だけでなく筋肉にも働き、人体のあらゆる動作を担ってます。もろくなった骨を丈夫にするには、何といってもカルシウムを補うことが必要です。ちなみに、病院や診療所から骨粗しょう症治療で処方される薬はカルシウム剤ではなく、カルシウム(Ca)の吸収を高めるビタミンD3などの高度な医薬品です。ゆえに、病院で治療中の方は処方されている薬を効かせるためにも食事やカルシウム剤で骨の成分を積極的に摂らないと骨量を増やすことができません。天然カルシウム剤は病院薬と併用できるので安心です。

骨折がある脊椎

血液がつくられる仕組み「造血」

血液は「造血幹細胞」と呼ばれる細胞に由来し、全ての血液細胞は、造血幹細胞から造られています。造血幹細胞は、骨髄内に存在しており、そこで20回以上の細胞分裂を経て、赤血球、白血球、そして血小板へと成長していきます。この過程を「造血」と言います。骨髄は骨の中にある柔らかい組織であり、全身ではなく、主に体の中心部にある背骨(椎体骨)、胸骨あるいは骨盤の骨(腸骨)に存在しています。骨髄中に存在する造血幹細胞は、自己複製能とさまざまな血球に分化することができる多分化能を持っています。造血幹細胞は骨髄内で、白血球系、赤血球系そして血小板のもととなる細胞に成熟していき、そこから、さらに成長した白血球や赤血球そして血小板になったところで、骨髄から出て血管の中に移動していきます。とくに、赤血球の造血システムについては、貧血を含めた体中の低酸素を感知したときに、腎臓から分泌される造血ホルモン(エリスロポエチン)によって骨髄への造血を働きかることから始まります。

造血幹細胞

造血に欠かせない「葉酸」と「ビタミンB12」

造血に欠かせないのが、赤血球産生を制御する腎臓から分泌されるホルモンの「エリスロポエチン(EPO)」です。体内で貧血を含めた低酸素状態が感知されると、腎臓が応答してエリスロポエチンが分泌され、骨髄内の造血幹細胞に働いて、血球の産生を刺激します。骨髄では、刺激をうけた造血幹細胞が「葉酸」と「ビタミンB12」の働きにより、骨髄系前駆細胞→赤芽球系細胞→赤血球という過程でつくられます。葉酸やビタミンB12が欠乏すると細胞分裂が正常に行われなくなり、骨髄の中の赤芽球(赤血球になる前の未熟な細胞)が通常より大きくなります。これが“巨赤芽球”で、これにより赤血球になる前に壊れてしまった結果、赤血球が不足して貧血が起こります。これはとくに「悪性貧血」と呼ばれます。当然ながら造血幹細胞はタンパク質からできているので、良質タンパク質と葉酸・ビタミンB12の摂取を欠かさないことが貧血の予防になります。

葉酸とビタミンB12不足

腎虚(じんきょ)

東洋医学では老化を「腎虚(じんきょ)」といいます。夜中に何度もトイレに起きる・白髪の増加・耳が遠くなる・元気がなくなり手足が冷える・体のあちこちが痛い、などこれらは全て“腎の弱り=老化”として“腎虚”といいます。腎虚とは腎臓系の病気ではなく、体内代謝系やホルモン・免疫系などに影響を及ぼし骨・足腰・髪などに関わる老化症状のことを指します。

補腎(ほじん)

加齢により老化症状を感じるようになった人は、先ず腎の力を高めることが必要でそれを「補腎(ほじん)」といいます。腎虚に役立つ薬を「補腎薬」といい、老化を遅らせる漢方薬としてあります。補腎で“腎”を強化すれば、老化現象が改善されます。東洋医学では「補腎薬」で老化を遅らせることが可能とされている生薬で補腎に効く成分は「鹿茸(ロクジョウ)」が一番といわれています。

鹿茸(ロクジョウ)とは

鹿茸(ロクジョウ)とはオスの鹿の角を指します。鹿の角は春になると、毎年付け根から落ち生えかわるのが特徴で、約2~3日ですぐに生えかわり、幼い角は皮膚に覆われ袋角のようになります。この生えかわった袋角の部分が鹿茸です。日本国内での補腎薬のおすすめは、鹿茸と高貴薬の紅参(コウジン)で処方されたものが医薬品として販売されております。